皆さん始めまして。UX事業部の中村百花です。

この度、2019年の11月末から会社ロゴを始めとしたCIリブランディングを担当し、コーポレートサイトをリニューアルするということでここまでの道のりをブログとして書こうと思います。

まずは会社ロゴのリニューアルについてです。
実際のBefore/Afterがこちらです。

ロゴのデザイン発注は当時クラウドソーシングで依頼し、

– テーマは再生
– (矢印をモチーフは)柔軟にピボットを変えて動く
– (様々な色は)多方面で活躍する思い

という意味を込めて作成していました。

なぜロゴを変えたのか

①事業拡大に伴うリブランディング

リクリエは「民泊運営代行事業」としてスタートしました。創立して約3年、現在は「省人化ホテル運用」「SaaS事業」「ホテルコンサル」を主軸とした会社に大きく拡大。それに伴い、多くのステークホルダと接することになり、会社としての次のステップとして思いを込めたものを新たに作ることになりました。

②愛着を込めるリブランディング

実際のロゴやCIデザインとしての課題があります。

【外部】
– 宿泊運用代行事業のみの会社だと思われている
– ロゴだけ見るとリサイクル?エコにまつわる会社を想像しがち
【内部】
– リクリエが何を成し遂げないのか社員全員が語れない
– ロゴやリクリエのブランドへの愛着心がない

この課題を解決するためにも、新たに会社のCIデザインを作ることになりました。

CIデザインにおけるリサーチ

以下のリサーチフローを行いました。

1) 他社を調査し、サービス特徴の理解を深める
2) 判断軸としての「4象限」を作成する
3) リクリエが4象限のどこに入るかを決める

他社を調査し、サービス特徴の理解を深める

リクリエの事業をなるべく大きな視野で見た時に対象となる事業を洗い出し、そこに関連する他社のロゴをピックアップして比較することから始めました。
参考とした事業か以下の通りです。

– ホテル
– ホテル代行運営
– OTAサイト、旅行系サービス
– リノベーション
– IoT
– スペースシェアリング
– 地域活性化、地方創生
– 資産運用
– 遊休資産運用
– 賃貸不動産

判断軸としての「4象限」を作成する

ロゴを一覧化し、ロゴのパッと見の印象だけで「情緒的」か「機能的」かを判断し、それに加え「高級感」と「カジュアル」の4象限を作成しました。

4象限で用いたキーワードの定義を以下に記載します。

「情緒的」・・・ 感情に動かされている(見た人に共感を取りにきているイメージ)
「機能的」・・・ 感情に左右されない(理性と知恵によって冷静に考えるイメージ)

「高級感」・・・ 礼儀正しさ、信頼感、格式の高さ
「カジュアル」・・・ 軽快さ、ノリの良さ、敷居の低さ、物腰の柔らかさ

↓他社ロゴを一覧化してチームの4象限軸の定義認識を統一

チームで考えた結果、こんな感じのチャートができました。

ここの分類する時に話した内容として、

例えば「Airbnb」は、ロゴにメッセージ性を出すために「人+場所+おもてなし+Airbnb」という意味が込められており、「家庭の温かみ」を感じやすいマークにすることでAirbnbが掲げている「暮らすように旅をしよう」を形としてあわらしていることで「情緒的」として上げました。

次に「星野リゾート」は、(ネットで調べた感じだと)明朝体をポップな感じに仕上げていることから「伝統にしばられず、ホテル運営に新しい風を送りこむ」意味合いを込めてるので、情緒よりだが、アイコンを作成している訳ではないので少し機能的に仕上げました。

その他
– カラーで会社の雰囲気を表現しているのか
– 形やフォントでどういう見せ方にしたいのか(&伝わっているか)

などを話し合ってこの図を作り上げました。

上記の事業で4象限作ったところでほとんどが「機能的」だったため、他社のプロダクトロゴや事業と関連していないがメジャーな「情緒的」ロゴも追加しました。

リクリエが4象限のどこに入るかを決める

今のロゴはこの辺に入るだろう、今度どの辺に持っていきたいのかを分析したところ、もう少しだけ「カジュアル」で「情緒的」に落とし込みたいということになりました。

経営陣にヒアリング

創業当時から大事にしている言葉はいくつかあったものの、CIプロジェクトが始まった時点で明確に言語化されていないものもあったので、ロゴを作る作業と並行してここの言語化も進めました。
まず会社の「らしさ」を言語化するために、経営陣に30項目ほどの質問を行いました。

質問した内容をいくつか抜粋します。

– 競合相手や業界の中で、リクリエのこれからの発展において影響をを与えるような変化が近年ありましたか?
– リクリエの現在のオーディエンス・顧客・消費者に変化はありましたか?
– 会社として何が伝えたいですか?また、それは誰に伝えたいですか?
– 会社の目指している最終的なゴールはなんですか?
– 意識している競合会社はありますか?その競合会社のどんな部分を意識していますか?
– 今の会社で一番大切にしていることは何ですか?
– 消費者や社会に、どんな会社であると思われたいですか?どんな印象を与えたいですか?

経営陣による思いを1社員として聞くことができ、ここでモチベーションが上がりつつも、みんな知らないで働いている状況。。顧客や社会に対する企業ブランディングとはいえ、1番は「今いる社員」がターゲット・オーディエンスだと思いながらどうやって一貫性のあるものに形として創り上げるかを悩みました。

「らしさ」の具現化

既存ロゴのポジショニングができ、今後どういう世界を実現していくのかをヒアリングしたことで、ロゴにどんな思いを込めたいかリストに上げてもらいました。

– 事業内容ではなく、理念に沿ったロゴにしたい
(例:民泊だから「家」のようなアイコン
– エコ系じゃない意味合いで「再生」を表現したい
– SaaS事業もできたので、IT会社っぽさも持っておきたい
– 外部委託会社も踏まえて今の事業があるからこそ、「繋ぐ」をコンセプトに入れたい
– Airbnbのようなシンプルな見た目にしたい

またこのタイミングで人事部によって会社の「行動指針」が出来上がったので、そこからキーワードをピックアップし、ミッションとビジョンを合わせて分解してみました。

そこで出てきたデザインキーワードがこちらです。

– 再生屋さん
– カオス=イノベーション
– 人をワクワクさせること
– 持続可能なサイクルを生み出す
– Connecting the dots

制作開始

それぞれのキーワードを元にアイデアスケッチをスタートする前に、以下3つのパターン軸でどこにフォーカスすべきかと話合いました。

– 再生を意味するRe:の文字をモチーフにロゴを作る
– 再生マークをメインを維持したロゴにする
– 何かしらのストーリーを用いてロゴに変換する

結果、最後のストーリー性を重視することでスケッチを開始。
思いつくモチーフを50個ほど作成しました。

また、キーワードと社風を形容詞に例えると?のインタビュー結果を元にロゴのメインカラーが「鮮やかな暖色系」で決まりました。

結果スケッチで決まったネタはこちら

ラフでは「カオス」をメインテーマとして線、丸、三角などで形を作ることにフォーカスしました。

デザイン開始

チームの中で「鮮やかな暖色系」の中でも「赤」「オレンジ」で意見が別れたのと、「緑」を入れたいという話が突発的に出てきたことで、ラフ画を元に制作しました。
実際に作成すると、デザインコンセプトがいくつかまとまってきました。

ストーリーテーマは陸上競技場。
1つのフィールドで様々な競技が行われていることから「我々は様々な種目(社会課題)に取り組む」と置き換え、レーンが「永遠」のサイクル、リレーで「共にゴールを目指す」ことで即決でした。また、「再生」はロゴに込めたいので、トラックを3つにしました。

社員へのアンケート

新たにロゴを50近くデザインし、社員全員にアンケートを取って意見をもらいました。
デザインコンセプトは共有した上で、以下の軸を元に第3希望まで書いてもらって投票をお願いしました。

– リクリエらしさが伝わる
– リクリエの事業にあってる
– 一目で分かりやすい
– 他社と似ていない

実際の投票結果として1番上がったものは44番のロゴでした。

また投票とは別で会社ロゴに対する質問があれば任意で記載できるようにしたところ、以下のようなコメントがありました。

– 個人的にはカオス推しで最もカオスが表現されている〇〇番の一択
– いろんな色を重ねると灰色に見える事から再生業として「グレー」をロゴに入れたい
– 「何色にも変わる(様々なキャラクターを持っている)ことができる」という意味合いででマルチカラーにしたい
– 三角形の象徴感よりも「3点、三つの何か」があるような意味合いにしたい

デザインFIX

アンケート結果を元に経営陣の意見も踏まえてデザインを少し修正。
ロゴの大枠が決まったところで新たに色の調整も加わりました。

結果、以下の修正で完全FIX

– 汎用性&シンプルさを出すために単色に変更
– 「3点、三つの何か」として「人事(内部)」「外部」「協力会社」を柱として、ステークホルダごとに色を分け、様々な場所でメインカラーを変えるようなワクワク感を追加変更

例: 営業資料: 「青緑」がメインカラー
  採用サイト:「オレンジ」がメインカラー

また、黒背景にした時のロゴはラインで形どった方を選んだ遊び心も加えました(ここが社風出てるなと個人的に思ったのでそのまま採用)。このラインをそれぞれのメインカラーとして利用できることでもロゴの利用方法を広げました。


社名の表記は元々「リクリエ」でカタカナでしたが、英語にすると「Reqrea」なので、

– 外部からの会社名の認知度を上げる
– Re-createに対して「問いただす」という意味合いで”Q”に変換しているのであれば、その名前を前面に打ち出す

ということでロゴを英語表記に変更しました。

ロゴタイプはユニクロやオリンピックの公式ロゴでも使われているDINを原形することで「日本」っぽさを表してます。DINの機械的な見た目に対して温かみを付け足すために角丸や全体的な丸さを出すことでで信頼感を表現しながらも硬くなりすぎず、リクリエらしい雰囲気に仕上げました。旧ロゴと比べて視認性と安定感を出してくれます。

さいごに

CIデザインはリクリエ社員全員が同じ山の頂上に迎えるようにするためのコンパスのようなものであり、「作って終わり」ではなく共通言語として浸透させていくことが必要だと思っています。今度仕事を取り組む際に「私たちが今やってることは本当に目指していることなのか?」と原点に振り返ることができたり、私たちが目指す社会に共感を持ってもらえるようになるのは今後の会社の未来だけでなく、社員自身がただ生きるだけでなく、今していることがどう生かされていくのかを日々見つめ直し自己成長できるような組織作りに取り組んでいきます。